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顧客向けパーツ販売サイトを一新。複雑化した受注のプロセスを集約し、属人的な対応からも脱却

顧客向けパーツ販売サイトを一新。複雑化した受注のプロセスを集約し、属人的な対応からも脱却

【目的】

■更新に手間のかかるパーツ受注システムやWeb受注システム(会員制EC)を刷新し、平準化した運用を行いたい。

■国内外の支店・拠点による、バラバラの受注プロセスを統合したい。


概要

・パーツ受注システムや会員制ECが老朽化し、手動での管理・更新が必要になるなど、運用の負荷が高まっていた
・JMASのBtoB ECを中心に据えた、新たな受注環境の構築に乗り出すことになった
・システム導入と同時に、受注にかかわる業務プロセスの見直しも行った

課題

・会員制ECのほか、コールセンター、FAX、さらに多数の国内支店や海外拠点という受注の窓口が乱立し、それぞれ独自ルールで複雑な運用を行っていた
・Magentoベースの構築を検討していたが、価格体系も商品体系も複雑なため、実現が危ぶまれていた

選定理由

・BtoBの豊富な経験、Magento の実績をはじめとするJMASの安心感
・パートナーとしての丁寧な導入支援、プロジェクト推進能力やリリース後のフォロー体制

効果

・各支店・拠点でバラバラに行ってきた受注業務を、BtoB ECを中心に集約し、属人的だった対応を平準化できた
・新しい会員制ECにより、コンテンツをメンテナンスしやすい環境が整った
・受注のみならず、安全データシートの配布などの派生的な使い方で、顧客の利便性が高まった
・受注業務の効率化により、拠点を1ヵ所に集約し、対応人数は80%削減
・電子帳簿保存法に則った運用が実現した

コンテンツの更新、サイトの維持が困難に。会員制ECの抱えた問題とは

日本電子株式会社は、理科学・計測機器、半導体・産業機器、医用機器の3分野を柱に、世界の最先端の研究や技術開発を支え続けるリーディングカンパニーだ。製造業のほか、研究機関などを主な顧客にしており、納入後の保守サービスも重要な事業の1つとなっている。

同社は、顧客向けパーツ販売事業において、会員制ECの老朽化をはじめとする様々な問題に直面していた。このため、JMASの「BtoB 受発注サービス 2nd STEP(セカンドステップ)※」(以下、「BtoB EC」と表記)を中心に据えた新たな受注体制の構築に乗り出すことになった。

既存のパーツ受注システムや会員制ECは、2000年から長年運用してきたものだが、両システム間でデータ連携は行われていなかった。また、更新は手動が基本となっており、運用負担は大きかった。そのため、2020年頃には、すでにサービス終了に近い状態だったという。プロジェクトリーダーとして今回の刷新を率いた科学・計測機器サービス事業部 SIS事業推進本部 コネクテッドソリューション推進部 企画G グループ長の井出 亨氏は、既存システムについて、次のように語っている。「装置の写真を選択すると、紐付いた関連パーツがすべて表示されるなど、当時としては進歩的なサイトで評判もよかったようです。しかし、パーツの更新や新規登録、顧客IDの発行など、ほとんどの項目が手動だったために、更新しきれない状態になってしまいました」。

ユーザ部門から本プロジェクトを進めた業務統括センター・パーツ販売管理部の今井 昭幸氏は、「受注経路の複雑さについても課題がありました。受注窓口としては、既存の会員制EC、コールセンタ、FAXに加えて、国内の10支店、海外にも複数の拠点があります。支店・拠点では、それぞれのルールに則って業務を進めていました。受注データは、最終的にERPへと引き継がれます。しかし、そこに至るまでがまさにバラバラで、統合して効率化することが急務だったのです」と語っている。受注した窓口により、顧客対応にバラつきが出てしまうことも問題で、特に属人化からは脱却したいところであった。

社内に分散していた受注業務を集約。業務の複雑さを解決するために、プロセスを見直し

新たなEC基盤の構築について、井出氏は次のように振り返っている。「オープンソースのECプラットフォーム『Magento』を採用する方針でしたが、弊社の業務は価格体系も商品体系も複雑で、完全に包括するサービスは実現不可能だろうと考えていました。そこから紆余曲折を経てJMASにたどり着いたのですが、その時、ここなら確実に要望を形にしてくれると確信しました。Magento の実績をはじめ、BtoBの経験が豊富で、プロジェクトの推進能力、リリース後のフォロー体制も信頼できます。安心して任せられるパートナーだと思いました」。

構築にあたり、業務プロセスの見直しも行った。従来、10支店および5部署でそれぞれ行ってきた国内外の見積・受注・請求業務は、BtoB ECの活用を前提に、1部署に集約。中でも海外現地法人からの発注は、すべてBtoB ECに移行することに成功した。今井氏はこれについて、「ECからの購入なら、オペレーターや担当者の手入力による二重登録の手間がなくなります。データは、そのままERPまで引き継がれますから、大きな省力化が実現しますね」と語っている。管理工数を大きく削減したいなら、システム刷新だけではなく、同時に業務プロセスの見直しを行うことも重要ということだ。

予想以上の反響に、滑り出しは好調。今後も、JMASの伴走支援に期待

IT本部システム開発部の高橋 美絵氏は、システム間連携の観点から、JMASの丁寧な導入支援を評価している。「弊社は、これまでWebシステムをあまり使ってこなかったという経緯があり、移行後しばらくは、文字入力周りのエラーに苦しみました。エラー時には、アプリケーション側に制御を入れていただくなどして、エラーを激減させることに成功しました。受注データは、ビジネス上の重要度も高く、急いで対応しなければならないものばかりですから、安定した連携で運用できることを大変ありがたく思っています。JMASはほとんどの要望を保守の範疇で対応してくれるという点でも、非常に助かっています」。

新しい会員制ECでは、受注のほかに関連する様々な情報提供や帳票出力の機能を付帯することで、顧客の利便性を向上させた。例えば、見積もり依頼は、顧客自身がECの画面から作成可能だ。今井氏によると、「メールでのやり取りよりも、レスポンスは各段に早くて手軽ですし、便利さを知るお客様には繰り返し使っていただいています」とのこと。また、化学品の販売に伴うSDS(安全データシート)の提供は、従来、設けていた窓口を廃止し、ECで商品ごとに添付することにより、必要なタイミングで、手間なく入手できるようになった。さらに、電子帳簿保存法に遵守した帳票保存も可能にした。

なお、業界の特性上、多様な顧客のニーズに応える必要があり、すべての受注をBtoB ECに一本化することは難しい。コールセンタ、FAXも従来どおり併用することになるが、できるだけBtoB ECの利用率を上げていきたいという思いが同社にはあった。実際、新体制への移行後、その利用率は全受注のうち約40%となっており、想定以上の成果となっている。「思ったよりも、たくさんの方が使ってくださっていて驚くほどです。現段階では、まだ利用されていないものの、ID登録だけを行っているという方も多く、注目されていることが窺えます」(井出氏)。

最後に、今後の展開について伺った。井出氏は、「システムとしては、ある程度の完成度を見せている状態になったと思います。今後は、コンテンツを増やし、ブラッシュアップするフェーズに入ります」とビジョンを示した。さらに、『お客様にとって、より買いやすいEC』を目指すために、JMASには引き続き伴走支援の期待を寄せられた。



                              ※2ndSTEPは『セカイカート』へ名称変更いたしました。

企業概要

企業名 日本電子株式会社
所在地 東京都昭島市武蔵野3丁目1番2号
URL https://www.jeol.co.jp/
事業内容 科学技術や製造業の発展に欠かせない分析機器や理科学計測機器の分野で、世界に名を馳せるリーディングカンパニー。電子顕微鏡などの計測器事業で培ったコアテクノロジーを中心に、関連分野で幅広い事業を展開している。
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